科研の申請、そして「非常勤講師」の居場所のなさ |
非常勤先の大学のどこにも「非常勤には『研究分担者』として、科研の申請が認められておりません」との言われ、科研の申請に必要な番号の取得を断られてしまった。なぜ?と尋ねると、「そういう決まりなんです」と大学の学務係は半分キレ気味にこちらに伝えてくる。
科研費ってなに? 研究分担者ってなに? そもそも何が問題なの?という人もいるので説明すると、まあ今年、あるアフリカ研究の知人から一緒に科研(科学研究費:文科省の出す研究者用の研究助成金である)を申請しようと声がかかり、その草稿を書くのに夏の半分を費やし、ようやく書き上げた。ちなみにこの申請が通るとアフリカまでの調査が公費でカバーされ、かつ研究に必要な学会出張費、書籍費などもカバーされる。すべて非常勤の安い手当で動いている私には、調査に行くのには本当に必要な助成としてある。
研究計画書を書いたからには自らを「研究分担者」、つまり主要な研究達成のためのメンバーとして位置付ける必要があるのだが、それには文科省の制度上、大学、もしくは研究機関に所属し、そこから科研用の番号を割り当てられる必要がある。
そして今年は非常勤として合計5つの大学で講義を持っており、非常勤でも大学から番号を割り当てられることは可能だという話なので、どこかからその所属先として番号をもらえるものと思っていたのだが、どこもが口をそろえて「うちでは決まりで、非常勤には『研究分担者』として、研究番号を振り当てることをしていません。そうされるのは『研究員』のみです」と、語気鋭くのたまうのである。
本来なら、アクセス可能な権利が拒否される。大学側としてはたかだか「非常勤」のために、雑多な仕事を引き受けるわけにいかないということなのだろう。しかし、非常勤はもともとそれほどに高くない手当で働かされ、それで「余計な仕事を増やすな」というふうに伝えられる。
居場所がない、と正直に思う。文科省は制度上、在野の研究者にも門戸を開いているつもりでいるのだろう。だがその制度や権利は、現実の大学の運営上の問題で無視をされ、閉ざされてしまう。そして、大学の職員は電話口で、そのように申し立てる非常勤について「迷惑です」といわんばかりに、門前払いを食らわせ、自分たちがいかに忙しいかをまくし立ててくる。
非常勤の境遇については、この場で散々に不平をこぼしているけれども、今回の件は本当に「非常勤」の立場の理不尽さを感じてしまう。「悔しいなら、常勤」になればいい」という人もいるかもしれないけれども、そういう問題じゃないんだよね、たぶん。そしてそれらのことすべてがこの国のさらなる貧困化をどんどんと促していっているんだよね。。。
しかし、どこか無給でいいので、研究員として登録させてくれる場所はないものか。。。一橋は本当に権力のある教授しか、そういうことを差配しないからなぁ。。。なんか、研究とは別の次元で研究が進むというのは現実としてわかるのだけれども、やはり世界に失望させられることでもある。「非常勤講師」は霞を食い、表に出てくるな、そんな声が聞こえてくる。
写真は自宅近くの空。撮影した時はまだ8月の半ばだったがすでに秋の訪れを感じていた。秋が来ると空を眺めることが多いような気がする(2014年8月18日18時30分 iPhone 4S にて撮影。)。