荒れる選挙:ウガンダ、カンパラ市長選、各県知事選 |
先の水曜に大統領選に続いて、カンパラ市長選、および各ディストリクト(ここでは便宜上、日本の行政機関的に「県」と呼ぼう)の「知事」選を行っていた。
ところが、肝心のカンパラ市長選、朝頃からすでに雲行きが怪しくなる。街の中心部を含めて、投票者が暴動を起こしたというニュースが大使館を通じて流れてくる。そして、その日の夕方には、それまでの投票は無効とされ、再び仕切りなおして市長選を行うことにするという。まだ再選挙日は知らされていない。
聞くところによると与党から推薦されたカンパラ市長候補ピーター・セマティンバ (Peter Sematimba) が広範囲にわたる地域で、自分への投票箇所にチェックをいれた多数の票を投票箱に事前に仕込み、嵩増ししたものを置いていたのだという。そのため野党は、セマティンバを失効させるよう訴えている。
Throw out Sematimba, rivals demand
http://www.monitor.co.ug/News/National/-/688334/1113948/-/c4ldbmz/-/index.html
上記のニュースの記事によれば、7時に投票が開始され、9時にはすでに投票箱が満杯になっていたという。あるいは、カンパラの中心であるナカセロのブガンダロード沿いの投票所で、朝方50人しか投票していない状態で、途中で確認するとすでに150票もの票がセマティンバの賛成票であったと。
しかし、今朝の新聞では当のセマティンバ氏は厚顔にも、「警察への調査をきちんとお願いする」などと言っている。あまりにあからさまな不正と言い訳で、これでは暴動を引き起こしたのもわからなくはない。先ほどテレビのニュースを見ていたところ、セマティンバがとりあえず失格との報道がされていたが、さて与党推薦者がこれほど容易に失格になるか、明日以降の報道で確かめたいところ。
ちなみにこうした傾向は同時に行われた各県での知事選でも似たようなものがあったらしく、ニュースや友人たちの個人的な報告からするとウガンダの各地は多少興奮気味だったようだ。特にソガ地域のジンジャでは、威嚇の発表や催涙弾なども捲かれ、野党推薦の候補者の一人も逮捕されたとのこと。また同地域のカリロでは終日、現県知事への不平、批難を鳴らして、住民たちが街中で騒いでいたとのことだった。
ところで各地方での状況は、地方紙を見ても、明らかな暴動が起こったのでない限り、あまりはっきりしない。報道の自主規制がある程度なされていて(記者は警察に捕まりたくないし、新聞社は政府によって強制的に閉鎖されたくはない)、各地での実情が新聞からでは見えにくくなっている。それはテレビのニュース報道でも一緒で、重要なニュースがなぜか一テンポ遅れて入ってくるような状況だ。
それこそアルジャジーラが各都市部で中継をやってくれないものかと思うのだが、そこまでのエネルギーを今のウガンダの政情を観察するためだけに注ぎこむのは不毛なのだろう。
その日はマムダニ教授が主宰する大学院生用のセミナーに参加していたのだが、カンパラでもマケレレ近辺はとりあえず静かだった。投票日ということで急きょ国民の休日になったということもある。だが、暴動鎮圧用の警官がいたるところに配置されている。マケレレはカンパラ北部地区の司令部のようで、かなりの数の警官が出入りしていた。
これから地方議会の選挙へと移る。不正は困るが、暴動とそれに対応する鎮圧で、街が歩けない状態になるのも困る。カンパラに缶詰めになって一ヶ月近く、ちょっとフラストレーションが私の中でたまっている。
この国を「平和な国」と呼ぶにはまだまだ遠いと思う今日この頃である。
(写真はカンパラ、マケレレの門前にて、昨年11月頃に撮影。)